四天宝寺公演について

 

改めまして、ミュージカル『テニスの王子様』青学VS四天宝寺公演大千穐楽おめでとうございます。

今回のブログでは、青学・四天宝寺共に一貫して自分なりに解釈したことを書こうと思います。悪しからず。

 

 

 

この公演で一貫して感じたのは三年生の部活で過ごした3年間の重みなようなもの、そして準決勝まで勝ち進んできた両チームの一年生から三年生までの絆の強さが出ているということである。

 

中学の3年間は振り返ってみればあっという間ではあるけれど、その当時は学生生活も部活もまるで永遠に続くんじゃないかと思っていたし、永遠に続いてくれと思っていた。

その生活が楽しければ楽しいほど。

 

 

ここから順に、そう感じた理由を。

 

始めに、橘VS千歳戦での猛獣のオーラ時

金ちゃんが「めっちゃ怖いわあ」と体を屈ませ、怯えていた。すると、そんな彼を気遣うように忍足と小石川が膝や肩を軽く叩いて慰めていた。ゴンタクレと呼ばれ、手のかかる一年生ではあるけれど約半年間、同じ目標に向かって歩んできた仲間としての絆を感じた。

 

 

次に、オーダー発表

青学では河村が呼ばれた時、何公演かは手塚の方を振り向き自分でいいのか、と言わんばかりの視線を送っていた。それに対して、手塚も頷いていた。その後に彼はしっかりとした目付きでオーダー発表を受け入れていたことがある。部長である前に3年間苦楽を共にした仲間としての手塚との確固とした絆を感じた。

四天宝寺では小石川が3rdシーズンで入ったことにより、オーダー発表で呼ばれないという現象ができたことである。レギュラーであるということは、それなりの実力があって選ばれた選手である。空気を読む男と言われているけれど3年間部活をしてきて、たとえ後輩の方が今は出るべきだと頭で理解していたとしても、準決勝で試合に出られないのはきっと辛く悔しいものがあろう。

しかし、それを受け入れて応援に徹する姿は彼が3年間過ごした部活での姿勢を反映しているようであった。

 

 

次に、河村VS石田戦

言わずもがな、財前に「青学のお荷物」と言われた後の河村の回想は三年生の絆を感じられずにはいられなかった。

しかし、それだけではない。

大阪公演でよく見られたのだが、河村が何度も観客席に飛ばされている時、青学のベンチでは皆真剣な眼差しを送っていた。けれど唯一、カチローだけはメガホンを両手で握りしめて、まっすぐ前を向けず俯いていることが多かった。気弱な性格の彼が先輩の血だらけの姿を見られるかと考えると難しいだろう。

そんな彼の肩を抱いていたのが菊丸である。菊丸の目はまっすぐ河村の方に向いているのだが、後輩であるカチローを気遣って肩を抱いていた。ここに一年生と三年生の絆を感じた。

 

最後に、手塚VS千歳戦

元は手塚・乾VS忍足・財前の試合なのだが、強い奴がコートに立つのモットーにより忍足は出場を千歳に譲り、才気煥発を発動させるために財前もサーブのみの出場となった。乾も同様にサーブのみの出場となった。

それを告げられた時、両チームの二年生、海堂と財前は眉間に皺を寄せ、何故、と言わんばかりであった。

ここで青学が勝てば決勝進出、ここで四天宝寺が勝てばS1に繋がり決勝進出の可能性が高くなる。

海堂からしてみれば、尊敬する先輩が残り少ない試合を譲るということに対して悔しさがあるだろう。財前からしてみれば、今まで忍足とのダブルス練習もしてきただろうし、もしかしたらこれが最後の先輩達との試合になるかもしれない、と思ったのではないだろうか。さらに、忍足自身が千歳に出場を譲り、自分も試合に出られないという悔しさがあるだろう。

しかし、両チームの三年生らはすんなりと受け入れていた。

そこから考えたのはやはり三年生は1つでも勝ちを、つまり全国優勝に対する想いが強いのである。しかし、一・二年生にとって全国優勝も重要ではあるが、もっと重要なのは先輩達と少しでも一緒にテニスをする、ということなのではないか。それが結果的に全国優勝へ、に繋がるのだが。

試合後、千歳が負けてしまい、財前がベンチへと向かうと他の三年生が気遣っていた。レギュラー唯一の二年生で、先輩にも生意気な口をきいたりしたものの共に準決勝まで勝ち進めてきた先輩達との別れがもうすぐそこまで近付いているのである。それなら最後に練習してきたダブルスで負けてもいいから試合がしたかったのかもしれない。そこで出たのが千歳に対する「退部してくれたらよかったんや」なのかもしれない。

 

 

テニスと共にあった中学3年間が刹那的に過ぎ、また決意を新たにした四天宝寺。決勝を目前に、こんな日々が永遠に続けばいいと願う青学。

全48公演、本当にお疲れ様でした。たくさんの感動とたくさんの笑顔の生まれた公演であったと思います。次は立海大附属との決勝戦。ここまで勝ち進んだ青学が優勝を掴めるよう願うばかりです。少しの寂しさと希望を持って。

 

 

 

 

DREAM

 

今回は今更ではあるが、ミュージカルテニスの王子様DREAM LIVE 2018の楽曲、「DREAM」について考察していく。

 

 

 

わくわく感の募る前奏に揺れるカラフルなサイリウム、そして異例の「歌って!」に続く「THIS IS THE PRINCE OF TENNIS」と映し出されたモニター

 

神戸公演初日、初めてその文字が映し出された時は多くのファンが戸惑いを隠しきれずにコールはまばらで声も小さかった。

しかし、横浜公演大千秋楽。

神戸公演初日からは見違える程にコールは大きく揃って、会場にいる全員が一つになったようだった。

 

数回に渡る「THIS IS THE PRINCE OF TENNIS」のコールの後、「ありがとう!」と映し出された。

 

 

 

 

 

 

そこから各校のレギュラー陣が次々にステージ上に駆け上がってくる。

 

ポップアップで上がってくるのでも、せり上がってくるセンターステージでもなく、駆け上がってくる。

 

 

 

正直、ポップアップの方が派手な登場でステージ映えもするだろうし、せり上がってくるステージの方が気持ちが高ぶってくるだろう。

ポップアップの場合ならきっと主人公である越前リョーマがポップアップされるだろうし、せり上がってくるステージの場合なら青学レギュラー陣がステージの上にいるだろう。

しかし、そうじゃない。

 

 

 

駆け上がってくる演出だからこそ、テニミュ15周年に相応しいと感じる。

 

 

「THIS IS THE PRINCE OF TENNIS」

そうコールした会場にいる一人一人に思い思いのテニスの王子様が存在しているからだ。

テニスの王子様越前リョーマだけじゃない。

青学レギュラー陣だけがテニスの王子様じゃない。

 

きっと会場には立海大付属中の幸村や仁王を王子様だと思うファンもいるだろう。

きっと会場には六角中の葵や黒羽を王子様だと思うファンもいるだろう。

きっと会場には比嘉中の木手や知念を王子様だと思うファンもいるだろう。

登場する全てのテニスプレーヤーが「テニスの王子様」なのだ。

 

 

そんな「テニスの王子様」が目の前に走って現れる。

 

 

駆け上がる演出はそれぞれが思う「テニスの王子様」を漫画の中から飛び出させてきたような演出のように感じるのだ。

コールで想いを馳せた、それぞれの「テニスの王子様」を。

 

 

テニミュ15周年、原作テニスの王子様20周年の区切りの年に改めて私達一人一人の「テニスの王子様」を再認識させてくれた。

それが「DREAM」なのだと考える。

 

 

レディ・スタート・ダッシュ!

 

察しの良い方はもう気付いたかもしれないが、今回は『ミュージカルテニスの王子様 全国大会準々決勝 青学vs氷帝』で披露された青学の新曲、「レディ・スタート・ダッシュ!」についての考察をつらつらと書き留めていく。

 

 

 

 

始めに「レディ・スタート・ダッシュ!」の考察をすると言っておきながら、その前に「忘れ得ぬ戦い」についても考察しておきたい。

「忘れ得ぬ戦い」、きっとこの曲はどんな思いで氷帝学園青春学園に相対するのか、青春学園がどのようにここまで勝ち進んできたのか、を表現するためのものであると考える。

 

しかし、それだけではないように感じる。

今回の公演では、青学10代目が公演を行った。フィーチャリングで出演した比嘉中が相対したのは青学9代目であり、氷帝学園が関東大会を戦ったのは青学8代目であった。

 

奇跡的に、テニミュ3rdシーズンを駆け抜けた青学がそれぞれ異なるのだ。

つまり、「忘れ得ぬ戦い」、対戦校のキャストそれぞれが互いに戦った青学8代目・9代目に想いを馳せる戦いなのかもしれない。青学10代目にとっても、客席から観た戦う先輩の姿が「忘れ得ぬ戦い」として存在しているのかもしれない。

 

 

 

 

長々と「忘れ得ぬ戦い」について考察してしまったが、ここから本題の「レディ・スタート・ダッシュ!」の考察である。

 

1番、私が感動したのが座右の銘のようなものを1人ずつ言っていくフレーズである。

また長くなってしまうが、一人一人の座右の銘を考察したい。

 

 

手塚国光

「猪突猛進」…1つのことに向かって、向こう見ずに猛烈な勢いで突き進むこと

彼は全国氷帝戦で肩が完治し、九州から戻ってきている。彼の眼中にはもう全国優勝しかないのかもしれない。全国優勝のためにあとは突き進むだけだ、という意味であると考える。

 

大石秀一郎

「油断大敵」…油断は物事の失敗の元で、大きな敵であること

通常なら部長である手塚が言いそうなことである。しかし、手塚が肩の治療のため試合を欠場していた間、部長の役を担っていたのが彼であった。そのため、彼には副部長でありながらも部長の意思が強く受け継がれているためこの座右の銘である、と考える。

 

不二周助

「臥薪嘗胆」…仇を晴らそうと長い間苦心・苦労を重ねること

この座右の銘はなかなかに謎であった。

比嘉公演で橘と対戦し、練習を重ねる描写はあったもののまだ彼はシングルスでは負けていない。にもかかわらず、仇を晴らす…?四天宝寺戦への布石だろうか、と考えたが、自分の考えでは、関東立海戦で負けてしまった後輩2人へのメッセージではないか、と。事実、「敗北を無駄にするな」と歌っている。海堂と桃城のダブルスの敗戦を先輩として鼓舞しているのでは、と考える。

 

菊丸英二

「覆水盆にもう一度返しちゃいましょ」…「覆水盆に返らず」は一度起きてしまったことは二度と元に戻らないの意。そのため、一度起きてしまったことをもう一度元に戻すという意味である

比嘉戦での、ダブルスパートナーである大石の手首の怪我が完治していなかったため欠場を余儀なくされ、シングルスで挑んだ彼。ダブルスはもうやらない、と言って始めた甲斐との試合もダブルスの方が楽しい、と再認識し、またダブルスをしよう、と言った彼らしい座右の銘である、と考える。

 

乾貞治

「心機一転」…ある動機からすっかり心持の変わること

この座右の銘を考えるにあたり、関東氷帝公演まで遡った。関東氷帝公演で、手塚と対戦する彼は彼自身の努力の賜物で、データとパワーに磨きがかかったとして自信に満ち溢れていた。しかし、手塚自身も進化を遂げており、敗北を期してしまう。そこから、彼は心新たに努力を重ねていったためこの座右の銘である、と考える。

 

河村隆

「四面楚歌」…助けがなく、まわりが敵・反対者ばかりであること

穏やかで多くの人に慕われている彼が四面楚歌、とは意外であった。しかし、そんな彼がシングルスで戦う時の対戦相手の多くがパワー自慢である。菊丸が言っていたようにシングルスが孤独であるとするなら、自分以外にこの対戦相手と戦える人が青学にいないと考えるとますます孤独感が増していく。さらに彼は人一倍自己犠牲精神が強いため、このような座右の銘になったのでは、と考える。

 

海堂薫

呉越同舟」…仲の悪い者同士が同じ場所に居合わせること。また、敵味方が共通の困難や利害に対して協力すること

正直1番エモい……。彼が同学年の桃城と犬猿の仲なのは周知の事実だと思うが、彼と桃城はライバルでありながらお互いを高め合える関係である。事実、全国氷帝戦で桃城が敗北を期した時も人一倍燃えた男というのが彼であった。そのため、いつも仲違いしていても同じ目標に向かい戦う仲間として、の意があると考える。

 

桃城武

「あいつらに骨折り損をさせてやろうぜ」…「骨折り損」とは、苦心して力を尽くしたのにそれが無駄になること

何とも、青学1のくせ者と言われるだけの男である。関東氷帝戦で敗北した氷帝学園が満を持して全国大会に挑んできている。その裏にはきっと計り知れない努力があると思う。その計り知れない努力を自分達、青学に再度負けることで無駄にしてしまおう、という意であると考える。

 

越前リョーマ

「サムライ魂」…高潔で誇り高く、何者にも屈しない強い意思と、穢れることのない心を併せ持つ、極めて純粋な想いのこと

あの手塚を下した跡部との対戦であるにもかかわらず、恐れることなく挑み、勝利だけを追い求める彼らしい座右の銘である、と考える。

 

 

 

ここまで長々と書いてしまった。

何ともキャラクターをよく捉えた座右の銘であると思う。

 

 

 

 

 

 

最後になるが、「レディ・スタート・ダッシュ!」で彼等、青学10代目の爽やかな始まりを感じることができた。「スマイル・アンド・ティアズ」で「スタートラインを引いたあの時、ゴールは想像しなかった」という歌詞がある。

 

彼等はまだ始まったばかりである。

 

しかし、彼等のゴールは着実に近付いている。

 

 

全国大会準々決勝、全国大会準決勝、全国大会決勝。

青学10代目が青学として優勝するその日まで、私は応援し続けたい。